2013年3月29日

[BizHack×書評] リーダーシップを高めたいあなたへ。欧米企業の意外な鉄則 ~ 三谷宏幸 『世界で通用するリーダーシップ』 東洋経済新報社


欧米企業は長い目で事業を見ているから強い!

外資系企業がハゲタカファンドのように短期利益追求型だと勝手に思い込んでいる日本人は大いに間違っています!

著者の三谷宏幸氏は、川崎製鉄、ボストン・コンサルティング、GE副社長を経てノバルティスファーマ日本法人社長を務める、外資系でキャリアを築いた実業家です。

本書では、三谷氏の体験から、内側から見たエクセレントカンパニーのリーダー育成やリーダー観を垣間見ることができます。

特に、GE社長 ジャック・ウェルチの経営や外資系の「中長期志向戦略」のあり方をその身で体験されてきた氏の洞察は、日本企業の経営にも参考になるのではないでしょうか。

日系企業と欧米外資系の違いは、「中長期利益志向」と「短期利益志向」の違いであると、日本の新聞や経済誌でよく書かれています。


馬鹿者っと叫んでよいでしょう。


外資系だから「短期利益志向」といった、そんな単純な世界ではありません。

開発期間が長く、長期的利益志向でないと成り立たない製薬ビジネスのシェアは、なぜ欧米系ばかりなのでしょうか。


日本企業は全く歯が立たない!


やはり、欧米企業に対する私たちの認識が間違っています。


実は本書から、GEなどのエクセレントカンパニーは「短期利益志向」ではなく、「中長期志向」であることが分かります。


ただ、同じ「中長期志向」であっても、日本と欧米ではそのやり方が違うのです。


欧米系は戦略を構築・実践できる強力なリーダーを早期に選抜・育成・登用して、強いリーダーシップのもと「中長期志向」を実現しようとします。長所は、変化に強いことです。リーダーがきっちり舵を握るので、進路変更がしやすいのです。

一方、現場スタッフ層を中心に平均的強さや努力の積み上げで「中長期志向」を実現しようとするのが多くの日系企業です。長所は、多少曖昧でも現場で解釈して物事が進みます。事業の成長期にはかなり有効な組織です。

ただし、現場を含めた大勢で船の舵を握っているため、変化に対応しなくてはならない時は、なかなか意見がまとまらず動きません。サラリーマン的な思考も蔓延しがちで、リスクをなかなか取りにいけません。

そのため、家電に代表されるように、変化が速すぎる現在では、現場の強さの積み上げる旧来の日本的なやり方では勝てなくなっています。

一方で、日本企業でも成功している企業がありますよね。


その共通点は「オーナー企業」です。


ソフトバンク、日本電産、ファーストリテイリング(ユニクロ)などのオーナー企業は、リーダーシップが発揮しやすいのです。

現在の変化のうねりの中で、経営リーダーの持つ機敏な戦略対応の技が日本でも期待されているわけです。

リーダーシップを高めたいなら、今、この環境で成功しているケースをよく学ぶことです。そういう意味で、本書は勉強になる1冊と言えます。


ぽちっと応援よろしくお願いいたします!

0 件のコメント:

Related Posts with Thumbnails